映画列伝2 楢山節考(1958)

今回は、木下惠介の名作楢山節考を紹介。

 

◆あらすじ

じきに「楢山まいり」...

 

信州の山間部に住むおりんの耳に、「楢山まいり」の歌声が届く。年寄りは70歳になると「楢山まいり」に参るのが村の風習で、69歳のおりんはそれを待ち望んでいた。「楢山まいり」へ行く準備は万全である。例えば、息子の縁談も無事取り付けた。

ただ、もう一つ済ませなければならぬことがあった。彼女は自身の丈夫な白い歯を岩で砕く。老いながらも揃っているこの歯は、村では恥ずべきことだ。

一方で、孝行息子の辰平は、母の「楢山まいり」に気が進まなかった。少しでも「楢山まいり」の日を引き延ばしたい辰平であったが、長男夫婦に新しい子供が生まれたため、猶予はもう無いようだ。それでも「楢山まいり」は来年になってからと彼は考えていたようだが、皆の行く末を考えた結果、おりんは急遽年内に参ることに決めた。曾孫が産まれてくる前にどうしても、山に行きたかった。

 

正月の冬の夜。誰にも見られてはならぬという掟に従い、辰平は母を背負って出発した。雪が降ってくる...

 

 ◆特徴タグ

・因習

親子の情

浄瑠璃、歌舞伎的

 

 ◆感想と評価

1958年度のキネマ旬報ベストテン第1位、毎日映画コンクール日本映画大賞を受賞。

ほぼ全編通してオール・セットで撮影され、歌舞伎の様式美を取り入れた作品となっている。また、長編劇映画としては、初めてカラーネガフィルムが使用された。

主演の田中絹代(なんと当時まだ48歳!)は、歯を折る場面のために自らの前歯を何本か抜いて演技したという。

 

社会派の木下恵介の真骨頂を遺憾無く発揮した、映画史に残る名作である。

 

◆オススメ度:★★★★★★★

文句なしの満点。深沢七郎の原作小説や、今村昌平の再映画化作品もおすすめである。

 

楢山節考

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