映画列伝5 かぐや姫の物語

今回は、高畑勲の名作「かぐや姫の物語」を紹介。

 

◆あらすじ

昔、竹取のがいた。ある日、翁は光り輝く竹の中から、手のひらに収まるばかりのかぐや姫を見つけ、自宅へ持ち帰る。姫はみるみるうちに成長してゆき、「天からの授かりもの」として育てられる。

やがて姫は可愛らしい快活な少女となった。一方、光る竹から黄金や豪奢な衣を授かる奇跡が起こったため、翁は、彼女を高貴な姫にさせるという天命を授かったと確信した。

都の貴公子に見初められるべく、都に屋敷を建てて、一家で移り住む。

しかし、都での生活は姫にとって窮屈であった。行儀作法の修行も嫌々ながらであった。ある出来事に端を発し、屋敷を飛び出して装束も脱ぎ捨てながら走り続け、故郷の山にたどり着く。時は冬。生い茂っていた木々は見る影もない。しかし、村人が言うには、木は芽吹きの季節を待っており、今はじっと耐え忍んでいるのだという。

 姫は都に帰ってからというもの、修行中にふざけなくなり、行儀よく振る舞うようになった。春、彼らの屋敷の前には、姫を妻に迎えんとする多くの男であふれた。やがて5人の公達(車持皇子・石作皇子・阿部右大臣・大伴大納言・石上中納言)までもが求婚に訪れる。彼女を珍しい宝物に例えて褒める公達に対し、姫は、自分への思いの強さの証として、引き合いに出された宝物を各公達に持参するよう要求した。

3年後公達が現れたが、贋物であったり、姫の関心を引くために虚言を弄したことが暴露される。これに嫌気をさした姫。さらに、宝物を得る過程で石上中納言が事故死してしまったことで、姫は自らを責め悲嘆する。

これだけで事は終わらなかった。世に名を轟かせる貴公子を手玉にとる姫を、御門は宮中に招こうとする。彼女はこれを拒み、月夜には一人で空を見上げるようになった。彼女がここにいたくないと思ってしまった時、悲しい運命が動き始め・・・

 

姫の犯した罪と罰が明らかになる。

 

 ◆特徴タグ

・古典

人間と穢れ

・泣ける

 

 ◆感想と評価

日本の四季折々の自然の中で育ち、時に荒々しく感情を爆発させ躍動するかぐや姫を、一人の人間としてビビッドに描いた作品である。水彩で描かれた美術が、白を基調とする背景の中にあって美しく融合している。

2018年4月5日、肺がんのため高畑勲は死去。この作品が遺作となった。採算を度外視する心意気と矜持を買いたい。

 

◆オススメ度:★★★★★★☆

 エンターテイメント性以外に関しては、ジブリ最高傑作と言って良いだろう。

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