映画列伝3 戦場のメリークリスマス

今回は、大島渚の名作「戦場のメリークリスマス」を紹介。

 

◆あらすじ

時は1942年。

ジャワ島レバクセンバタは日本の統治下にあった。

当地の日本軍俘虜収容所で、朝鮮人日本兵カネモトが、オランダの男性兵を犯す。粗暴な軍曹ハラは、カネモトの首を撥ねようとする。日本語が堪能な俘虜、英国陸軍中佐ジョン・ローレンスは、その処置を巡ってハラと真っ向から対立する。しかし、ぶつかり合いながらも双方の存在を認めるようになっていき、奇妙な友情で結ばれていくことになる。

一方、ハラの上司で所長の陸軍大尉ヨノイは、輸送隊を襲撃した末に俘虜となった陸軍少佐ジャック・セリアズを預かる。その反抗的な態度に悩まされながらも、彼の純粋かつ信念を突き通す姿に魅せられてゆく。

そんな中、特別なクリスマス・プレゼントが各人に届けられることになり・・・

 

数年後、戦犯収容所にハラの姿がある。戦勝国のローレンスは、自身の運命を悟るハラに面会する。去り際、彼がかけた言葉とは・・・

 

 ◆特徴タグ

・戦争

男の愛と友情

・宗教、理念の違い

・泣ける

 

 ◆感想と評価

デビッドボウイ、坂本龍一ビートたけしら異色のキャストを主役に迎えた話題作。戦争、宗教、異なる理念がぶつかり合い混じり合う中で生まれた奇妙な男の友情が、緻密に美しく描かれている。

ラストの名場面や、坂本龍一による表題曲は、あまりにも有名で色褪せない。

 

◆オススメ度:★★★★★★★

文句なしの満点。

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戦場のメリー・クリスマス

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漫画列伝5 封神演義

今回は、藤崎竜の名作封神演義を紹介。

 

◆あらすじ

3000年前、殷の王朝時代。時の皇帝紂王は文武共に優れた名君であった。ところが傾城の美貌持つ仙女妲己を皇后に迎えてからというもの、怪しい幻術に惑わされ、かつての名君は見る影も無い昏君”フンチュン” (=バカな君主)に成り下がった。

紂王と妲己により殷は乱れに乱れた。仙人界崑崙山の教主、元始天尊はこの状況を鑑み、悪仙道を神界に封じ込むことで、人間主導による新王朝を造る「封神計画」を始動させた。

そして、封神計画主導の白羽の矢は、弟子の太公望に当たることになる。

太公望妲己ら強大な敵に立ち向かうべく、持ち前のずる賢さと仲間から厚く恃まれる人格により、強力な味方を集め封神計画を進める。

大切な者の死、あるいは新たな出会いなど、紆余曲折ありながらも順調に進む封神計画。しかし事態が進むにつれ、封神計画の裏に隠された驚愕の事実が判明していくのであった。

 

 ◆特徴タグ

・歴史物

・熱いバトル

・美麗な絵

ジャンプにしては珍しく、コンパクトに完結

 

 ◆感想と評価

中国の古典怪奇小説封神演義』を原作にしているが、ほぼ筆者のオリジナルと言っていいだろう。キャラクターの魅力(可愛いキャラが多い)や、お色気&残酷な描写など、読む者を飽きさせない工夫が散りばめられている。現在アニメ(2期)放映中であるが、お世辞にもクオリティが高いとは言えないのが残念である。余談だが、胡喜媚と竜吉公主がひたすらに可愛い

 

◆オススメ度:★★★★★☆☆

楽しめる作品で、娯楽作品としては一級品である。

 
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封神演義 完全版 全18巻 完結セット (ジャンプ・コミックス)

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映画列伝2 楢山節考(1958)

今回は、木下惠介の名作楢山節考を紹介。

 

◆あらすじ

じきに「楢山まいり」...

 

信州の山間部に住むおりんの耳に、「楢山まいり」の歌声が届く。年寄りは70歳になると「楢山まいり」に参るのが村の風習で、69歳のおりんはそれを待ち望んでいた。「楢山まいり」へ行く準備は万全である。例えば、息子の縁談も無事取り付けた。

ただ、もう一つ済ませなければならぬことがあった。彼女は自身の丈夫な白い歯を岩で砕く。老いながらも揃っているこの歯は、村では恥ずべきことだ。

一方で、孝行息子の辰平は、母の「楢山まいり」に気が進まなかった。少しでも「楢山まいり」の日を引き延ばしたい辰平であったが、長男夫婦に新しい子供が生まれたため、猶予はもう無いようだ。それでも「楢山まいり」は来年になってからと彼は考えていたようだが、皆の行く末を考えた結果、おりんは急遽年内に参ることに決めた。曾孫が産まれてくる前にどうしても、山に行きたかった。

 

正月の冬の夜。誰にも見られてはならぬという掟に従い、辰平は母を背負って出発した。雪が降ってくる...

 

 ◆特徴タグ

・因習

親子の情

浄瑠璃、歌舞伎的

 

 ◆感想と評価

1958年度のキネマ旬報ベストテン第1位、毎日映画コンクール日本映画大賞を受賞。

ほぼ全編通してオール・セットで撮影され、歌舞伎の様式美を取り入れた作品となっている。また、長編劇映画としては、初めてカラーネガフィルムが使用された。

主演の田中絹代(なんと当時まだ48歳!)は、歯を折る場面のために自らの前歯を何本か抜いて演技したという。

 

社会派の木下恵介の真骨頂を遺憾無く発揮した、映画史に残る名作である。

 

◆オススメ度:★★★★★★★

文句なしの満点。深沢七郎の原作小説や、今村昌平の再映画化作品もおすすめである。

 

楢山節考

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映画列伝1 悪魔のいけにえ

今回は、トビー・フーパーの名作悪魔のいけにえを紹介。

 

◆あらすじ

最近、墓荒らしが頻発している”ナウい”スポット、テキサス。

そんな所に、5人の男女が地元の墓の無事を確かめにやってきた。

道すがら一人のヒッチハイカーを拾うが...

 

なんとそいつはイカれた野郎で、ナイフで自傷行為&切りかかるヤバい行動を起こす!

近くの家に助けを呼ぶ!

そこにはなんとさっきのヒッチハイカーが!

しかも、そいつのイカれた家族もお出まし!

墓荒らしの犯人は、こいつらレザーフェイス一家であった!

 

 ◆特徴タグ

・人の皮を被った獣(マジで)

家族愛

・過激描写

・ハラハラドキドキ

 

 ◆感想と評価

アングラ&エキサイティングな演出で、観る者を圧倒させる。

レザーフェイス=人の顔の皮を被り電動ノコギリを振り回す大男、の存在感。狂気に満ち溢れたエンディング。

以降のホラー(特にC〜Z級)大きな影響を与えた。 

 

◆オススメ度:★★★★★★★

文句なしの満点。レザーフェイスの家族愛に脱帽。これを気に入った方は、 外薗昌也作の漫画「鬼畜島」もオススメ。

鬼畜島(1) (バンブーコミックス)

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漫画列伝4 童夢

今回は、大友克洋の名作童夢を紹介。

 

◆あらすじ

とあるマンモス団地にて、不可解な死亡事件が相次いでいた。

捜査に当たっていた地元警察山川も、“犯人”により殺害されてしまい、

著名な霊媒師ですら侵入を拒む始末。

事件を引き継いだ捜査官の岡村や高山らは、山川の無念を晴らすべく団地に潜む“犯人”に挑む。

凄惨な事件を終わらせたのは、以外にも……。

 

 ◆特徴タグ

・シュール

・超能力

・緻密&実写的

 

 ◆評価

第4回日本SF大賞受賞で、小説以外の作品での同賞初受賞作品。内容自体は「超能力バトル」とでも言うべき至極単純な内容である。しかし、舞台設定の新しさ、臨場感ある映像的な描写、ドライな空気感、善悪の欠落した心理描写など、当時の既成概念を破壊するものであった。

 

◆オススメ度:★★★★★★★

減点なし。

童夢 (アクションコミックス)

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漫画列伝3 ニッケルオデオン

今回は、道満 晴明の短編集「ニッケルオデオン」を紹介。

 

◆あらすじ

深夜の動物園、虎に恋する女子高生...「Heart Food」

悪魔に願いを叶えてもらう代償…「契約」

船に刻む彼女…「迷子のチーコ」

アンドロイドと密航者の出会い…「積めない方程式」

 

 ◆特徴タグ

ショートショート

・デカタン

・SF

・ナンセンス&諧謔精神

 

◆感想と評価

 成人向け漫画出身である著者によるショートショート漫画。放り投げられたオチに快感を得る読者も居られることだろう。特筆すべきは、柔らかいと同時に荒涼としたキャラクター造形と、多くを語らず読み手の想像に余地を与えていることである。

 

◆オススメ度:★★★★★☆☆

最近のナンセンス漫画では上位。

 

ニッケルオデオン 赤 (IKKI COMIX)

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ニッケルオデオン「緑」 (IKKI COMIX)

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漫画列伝2 とんでぶーりん

今回は、池田多恵子の名作とんでぶーりんを紹介。

 

◆あらすじ

聖林檎学院中等部に通う中学1年生の少女、国分果林

ある朝、道端で子豚を見つける。

何と、該豚はブーリンゴ星の王子トンラリアーノ3世であった。

彼は修行のため地球に来ており、果林にスーパーヒロインとして活躍してほしいと依頼する。

しかして変身してみると、ピンクのブタになってしまったのだ!

 

◆特徴タグ

現代社

・恋愛

・ヒロイン像との葛藤

・豚に真珠

 

 ◆感想と評価

既存のヒロイン像を破壊する設定が実に斬新。また、好意を抱いている人物が、むしろ変身後の姿に惹かれている様子など、この漫画でしか味わえない妙味が多々ある。

また、地上波のアニメ(オチが違うものの)も評価が高く、とりわけエンディングは非常に印象に残る。

 

◆オススメ度:★★★★★★

老若男女問わず、オススメできる。

 

とんでぶーりん 1 (フラワーコミックス)

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